尿失禁(その1)

2013-10-23 20:48:12

ここ10年位でやっと患者さんたちが治療を受けようと思ってくれるようになった病態です。皆さんが一人で悩んでいるよりも多くの女性で見られる症状です。訓練や投薬などの保存的な治療でも治る方が多い事を知っておいてください。

★「どんなタイプが有るの?」

尿失禁は、「腹圧性尿失禁」、「切迫性尿失禁」、「混合性尿失禁」に分類されます

【解説】腹圧性尿失禁

 主に中年女性に多く見られる病態です。くしゃみ、咳(せき)、重いものを持ったとき、大笑いをしたときなど、おなかに力がかかった時に尿が漏れてしまうものです。頻尿や排尿切迫感は有りません。この原因は、膀胱を支える骨盤底の筋肉が緩むことや尿道括約筋の力が弱まることです。軽症であれば、骨盤底筋体操や薬物療法が考慮されます。重症例あるいは尿漏れによる苦痛が強い場合には手術療法が適応となります。膣と下腹部を小切開して、尿道をテープで支えるTVT手術が一般的です。



【解説】切迫(せっぱく)性尿失禁

 尿意を感じると、すぐにトイレに行かなければ尿をがまんできずに漏らしてしまうという病態です。膀胱容量が減少してしまっている状態です。慢性膀胱炎や、神経因性膀胱(脳卒中・脊椎疾患・下腹部手術後等で膀胱へ行く神経が障害された状態です)などにて起こる症状です。薬物療法が治療の主体となります。

【解説】混合性尿失禁

 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が混在する病態です。正直なところ、治療に難渋する病態です。

マイタウン奈良掲載コラム